持寶庵のブログ

光明真言法にて、神佛へ感謝の御法楽、生きている方の滅罪と故人様・ペットちゃんの菩提を弔います。夢は保護猫ハウスを作ることです。町の行者です。霊感はありません。相互供養・相互禮拝。合掌

玉鏡 結

宮坂宥勝 校註(1974)『假名法語集(第7刷)』、株式会社岩波書店、355頁〜357頁
「遮」「文」「御」「韈」「更」「平」の旧体字は見つからないため常用漢字を使用。
「𢌞」は異体字を使用。
梵字はカタカナで現代仮名遣いにした。
證得大菩提果言は書き下した。


 毘盧遮那佛說金剛頂經光明眞言曰、「唵、阿謨伽、尾盧左曩摩󠄁訶母捺羅摩󠄁尼、鉢納󠄁麽、入縛攞、鉢羅韈多野、吽發吒、娑婆訶云々」。
 所謂オンとはうやまふ義なり。アとは金剛界、胎藏界兩部の大日如來なり。ボとは天地の諸神なり。キャとは一切衆生の身體也。ベイロとは觀音󠄁の淨土の相なり。シャノウとは三世の諸佛の異名なり。マカボダラとは一切の諸法なり。マとは文殊菩薩なり。ニとは忉利天に生ずるなり。ハンとは八大龍王なり。ドマとは地藏菩薩なり。ジンバとは三界衆生のかたちなり。ラハラとは五部大乘經なり。バとは十羅刹女なり。リタとは十大弟子なり。ヤとは八大地獄のくるしみをまぬがるゝ言なり。殊更󠄁當來の導師彌勒菩薩なり。ウンとは四大尊󠄁なり、一切成就の義なり。ハッタとは地獄を破裂して淨土となる言なり。ソワカとは五佛の密言、大菩提の果を證得するの言なれば、此真言にもるゝこと更になし。これしかしながら、二世の滿足、何事かこれにおよばん。穴賢、々々。

 愚僧百餘種の食物を斷ちし事は、一才土民のわづらい、小家のいとなみをおもひ、天然とみのりし木の實をわづかに掌のうちに以て、一⻝として厠蟲をやしなふ。これを定家卿も、「春のさなへ秋田かりほす騷きまで くるしく見ゆるしづのおだまき」とながめ給ふ。さて、菩薩の三聚淨戒は、一切衆生救度の願あり。總じて出家といひしは持戒をもとゝす。戒なきを在家と申なり。これ佛弟子のさだまりし所なり。湯茶を服󠄁せざるは不殺生の心にていませし。うすき衣服󠄁は紡績の苦勞をおもへばなり。一生涯、晝夜の不臥はねぶりをさまして、光明眞言を數遍󠄁となへて、三界人天、一切の貴賤靈等平等利益のために、祈願𢌞向したてまつる。

 願以此功德、普及󠄁於一切、我等與衆生、皆共成佛道《願はくは此の功德を以て普ねく一才に及ぼし、我等と衆生と皆共に佛道を成ぜんことを。》

           大僧正  以空 謹書

右此書は寛文二年後水尾院法皇本院御所叡聞に逹し、紫宸殿にめされ、光明眞言を講じ、一卷の書をあみて兩院に獻じ奉り玉ふ。其とき勅により玉鏡と勅號下しおかれしより、梓にちりばめ今に至る迄世に流布すと也。


         光明真言曼荼羅